日々馬鹿日記2005 Ver.1.01b

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デジタルになる鉄道無線

首都圏のJR線においてデジタル伝送方式の鉄道無線が導入されてから10年以上経過した。現在はほとんどの路線がデジタル化され、現在は地方路線への導入が進んでいるほか、私鉄・地下鉄においてもデジタル化が進んでいる。
実はこの鉄道無線、「無線」という趣味の中でも比較的主要な分類にあり、沿線や自宅・移動中に無線を聞いている人は少なくない。しかし、それに影響を与えているのがこのデジタル化である。

そもそもこのデジタル化は、始まりは老朽化した無線設備の更新が始まりになる。アナログ式のこの無線を運用し始めたのは1980年代で当時は最先端だったものの、今は携帯電話でもデジタルとなり、メールや画像の送受信も可能になったが、鉄道無線はそれに追いついていなかった。そこで、無線設備の更新に際して音声以外の情報だけでなく、テキストデータ(運転状況の配信・運転指示情報の配信)のやりとりも行えるようにすべく、デジタル化が進んでいった。
その後、国でも電波の有効活用として各種無線のデジタル化を推進することになった。
www.tele.soumu.go.jp
従来のアナログ式は、妨害電波の影響を受けやすいだけでなく、やりとりできる情報量が少ない(効率が悪い)デメリットもある。特に地下・トンネルにおいて携帯電話を使えるようにする際、既存の無線設備に影響を与える恐れが出ている。
これをデジタル化することで、妨害電波などの影響を最小限に抑えるだけでなく、与えられた電波の帯域(周波数)の範囲で様々な情報を効率よくやりとりできるようになる。すでに各自治体が運用している防災無線のデジタル化も進んでいる。

こういうメリットがある反面、「趣味」の観点からすると(現在は)デメリットが非常に大きい。そもそも、聞けなくなるのである。
アナログ式とデジタル式では音声信号を電波信号に変える方法が全く異なる。しかもアナログ式はその変換方式は比較的種類は少ないが、デジタル式は変換方式が多種多様に及ぶだけでなく、仕様も独自仕様(一般公表されていない)のものが多く、一般のレシーバー(受信機)ではそれを搭載できないため、現在販売されている市販のデジタル無線レシーバーでも聞くことができない。また、特殊な方法で聞けないようになっている無線を無理やり聞こうとすることも法律に抵触する可能性も出てきている。未だにデジタル化されたJRの無線を聞くことができないのはこのためである。
ちなみに、今後アナログ式の防災無線が使えなくなるのもこの理由である。

今後このデジタル式の鉄道無線を誰でも聞くことができるようになるのか。条件としてはこのようになる。
・鉄道無線の仕様を公開する(セキュリティの面から考えにくい)
・鉄道無線の伝送方式を、一般に公開されている仕様に変更する(既存の無線設備を変更することになりメリットがない)
・ボランティアが様々な方法で復調を試す(運次第)
・アナログの鉄道無線に戻す(国の方針に逆行することになるので現実的ではない)
このことから、残念ながら今後も聞くことはできないであろう。 ごく一部の鉄道事業者だが、仕様が一般に公開されている方法でデジタル化したことで、市販のデジタル無線レシーバーでも聞くことができるようになったが、1社だけであり拡大する動きはない。
鉄道無線という趣味は、将来的には「聞くことができない」無線を追い続ける趣味となってしまうだろう。